中小企業診断士資格には「資格の休止」が認められていま
す。
中小企業庁に対し休止の届け出をすることで、経営診断の
業務に従事することを休止し、休止申請を行った日から
15年を限度に『有効期間の時間経過を一時的に休止』す
ることが出来ます。

海外赴任等で数年にわたって実務ポイント取得が困難な
方に恩恵の大きい制度です。また資格有効期限までに要
件を整えられそうにない場合の緊急手段としても利用さ
れています。

update

 目次



*.旧制度変更後すぐに休止をされた方へ

*この項は制度が変更されて実務要件が【実務研修の受講】から【実地の診断】に
 変更されてすぐに休止をされた方向けです。

現在の制度について、基礎的な部分をご説明します。

現在の制度では資格の更新や休止からの再開に、以下の要件が必要となっています。

①理論要件 ②実務要件

【理論要件とは】
 理論要件とは「専門知識の補充」を目的とした要件です。
 理論研修や論文審査を受講することで獲得することが出来ます。
 1回の受講で理論要件が1点取得できます。こちらは旧制度から変更ありません。

【実務要件とは】
 実務要件とは「診断実務経験の補充」を目的とした要件です。
 実務要件は旧制度では『実務研修』がありましたが、現在はありません。現在の
 制度では大きく分けて以下の2つの方法によって実務要件の取得が可能です。
  ・中小企業に対する診断・助言の実施
  ・実務補習機関が行う実務補習・実務従事

「中小企業に対する診断・助言の実施」は、中小企業者に対して経営に関する診断・
 助言を行うことで実務要件を取得することが出来ます。ここで言う中小企業者には
 個人事業主も含みますが、医療・学校法人やNPO法人等は含まれません。
 1日1点になります。

 個人的に診断を行う以外にも以下のことも実務要件として認められます。
 

国(中小企業庁等)の委嘱を受けて行う診断助言業務(例えば、ミラサポ専門家派遣事業による診断助言業務)及び、窓口相談業務
都道府県・政令指定市(中小企業支援センター等)の委嘱を受けて行う診断助言業務及び、窓口相談業務
(独)中小企業基盤整備機構の委嘱を受けて行う診断助言業務及び、窓口相談業務
中小企業関係団体等(商工会、商工会議所等)の委嘱を受けて行う診断助言業務及び、窓口相談業務
(独)国際協力機構(JICA)等からの委託等で行う中小企業の振興に関する国際協力等のための海外における診断助言業務及び、窓口相談業務
中小企業に勤務し経営者からの指示で行う自社に対する診断助言業務、ただし所属部門のルーティンワークを除く
金融機関や大企業等に所属し、取引先等中小企業者に対して行う診断助言業

 実務要件の取得が難しい方は、まずご自身の友人・知人、親戚等に事業を行っている
 方がいないか、探してみることを勧めます。形式的な「診断」を行わなくても、経営の
 相談に乗り、課題解決のアドバイスをすることで実務ポイントを取得できます。
 また診断士の知人がいれば、その方に相談してみることも一つの手です。診断の機会が
 あれば参加させてもらえるかもしれません。
 もう一つの方法は「実務補修機関が行う実務補習・実務従事」を受講することです。
 参加費はかかりますが、指導者や他の参加者からの意見を得る事が出来るため、自身の
 スキルアップにつながります。弊社の実務従事では土日を中心とした6日間のプログラム
 で6点の実務ポイントを取得することが出来ます。
 2019年現在、中小企業診断協会及び弊社が経済産業省登録実務補習機関となっています。

 現制度の説明は以上です。

資格の再開について

1.休止制度の概要

 資格の休止は診断士資格更新の特例として認められている制度です。
 資格有効期限5年の間に申請をすることで、最長15年資格を「休止」
 することが出来ます。その間は資格更新手続きをする必要はありません
 休止期間中に診断士を名乗る際には、相手に資格休止中であることを
 伝える必要があります。
 
 休止は「資格有効期限までの時間を止める」イメージをして頂ければ
 分かりやすいかと思います。資格更新から2年経過した状態で休止申請を
 すれば、そこから最長15年間資格を資格更新をしなくても「休止」という
 形で保有し続けることが出来ます。そして資格再開後は3年間有効期間が
 残っています。
 
■休止した場合の有効期限の例
 例えば「2020年3月」有効期限の方が「2018年3月」に休止申請をしたとします。
 その場合で「2018年3月」から15年後の「2033年3月」まで資格を休止しておくことが出来ます。

 その方が業務で資格が必要になり「2020年3月」に再開申請をしたとします。
 その場合「2020年3月」から資格が再開になり、再開後の初回資格更新は「2022年3月」です。




2.休止の手続き

 休止の手続きは難しくありません。
 休止に必要な書類は以下の2点になります。

  1.中小企業の経営診断業務休止申請書<申請書類様式はこちらから

  2.中小企業診断士登録証

 2点を中小企業庁に送付すれば休止申請は完了します。

<メモ>
休止申請をすると、中小企業庁から『中小企業の経営診断の業務再開の申請可能証書』が交付されます。
資格の再開にあたってこの書類が必要になりますので、紛失等しないように保管してください。


3.資格の再開

 資格を再開する際には「資格再開の手続き」を行います。

 休止手続きは書類の送付だけで済みますが、再開には資格の更新と同じような要件が必要になります。
  再開には再開申請をする日までの3年以内に以下要件の取得が必要になります。
     理論ポイント … 5点
     実務ポイント … 15点

 ■再開後 初回の更新
  再開する際には初回の更新について合わせて考える必要があるので、ここで記載します。
  資格再開後の初回更新には以下の取得が必要になります。
     実務ポイント … 15点

  この再開後の初回更新に必要な実務ポイントは
 「前回の登録・更新から業務休止申請日までに取得していたもの、休止中に取得したもの、
  業務再開後に取得したもの、すべてが有効」

  です。
  つまり「資格を休止し、休止中に再開後の初回更新分実務要件15点取得し、再開予定の3年以内に
  理論要件5点と実務要件15点を取得」することで資格の更新が可能になります。資格有効期限まで
  に要件を整えられそうにない場合の緊急手段として利用されるのはこの点があるためです。
  (再開後の登録有効期間が1か月以下の場合は、業務再開申請と初回の更新登録申請を同時に行います)

 ■再開の手続き
  資格再開の手続きには以下の書類が必要になります。
   1. 中小企業の経営診断業務再開申請書 <申請書類様式はこちらから
   2. 中小企業の経営診断の業務再開の申請可能証書(休止申請後に中小企業庁から送付)
   3. 理論要件の証明書(5点分以上)
   4. 実務要件の証明書(15点分以上)

<メモ>
再開後の登録有効期間が1か月以下の場合は、業務再開申請と初回の更新登録申請を同時に行います。
その際実務要件取得を全て弊社等が行っている実務補習(実務従事)にて行った場合、
  再開用に15点以上の書類
  更新用に15点以上の書類
が必要になるため、6点の証明書5枚では足りません。
(「6点×3=18点の書類」と「6点×2=12点の書類」とみなされるため)

1枚を3点ずつに分けることが出来ないため、全て弊社の実務補習で満たす予定の場合、ご相談ください。


4.まとめ

 企業に属し、普段中小企業との接点が無い場合や海外赴任が続く場合、資格休止は
 非常に助けになる制度です。
 その一方で資格を休止したまま再開できずに失効してしまう方もいらっしゃいます。
 長く診断業務から離れてしまい、いざ再開と思ったときに企業との接点を持てない
 ことが大きな理由の一つです。
 また長い期間中小企業とのかかわりが無いことで企業診断の感覚を忘れてしまい、
 せっかく苦労して得た知識や感覚を腐らせてしまう場合もあるかと思います。

 資格を維持する目的と、維持にかかるコストを考えて休止制度を利用されることを
 お勧めします。