中小企業診断士から経営コンサルタントへの成長

カイゼンと革新(1)

コンサルタントになって以来、幸いなことにわたしは数多くの会社を観察する機会がありました。
しかも、内部に入り込んで、経営者・管理者などといっしょに仕事をするので、その会社の実態
に触れることができました。

会社の寿命は30年であるという説があります。創業から30年経過すると倒産するというので
す。確かに多くの会社は永遠には続きませんが、長く続く会社もあります。寿命が30年の会社
と60年とか100年の会社とは何が違うのでしょうか。

長寿命の会社を分析した文献は数多くあります。それらの分析はそれぞれ正しいものと思います
が、次回以降、わたしの考えを披歴します。

K社の経験(4)

この経験のなかから二つの教訓を得ました。一つは実験計画法(線形代数)に対する数学的研
究のつたなさ、第二に中国事情の認識不足です。

何度も実験計画法のテキストを読んでいるし、経験もあるものの、圧倒的な知識・経験ではあ
りませんでした。普通の知識と経験にすぎません。生半可な知識でやるのであれば顧客に迷惑
をかけることになってしまうことを痛感しました。

日本企業はアジア、欧米、アフリカへ進出するようになりました。中国事情だけでなく、世界
的な事情を知る必要が生じてきました。日本国内だけで済むコンサルティングは成り立たなく
なったのです。そもそも経済はグローバルな性質をもつものであり、世界に目を向けるべきで
す。

中小企業診断士が中小企業の支援をするにあたり、その中小企業はグローバルな市場で活動し
ています。たとえば、福井県鯖江市のメガネ製造会社の支援をする場合、そのメガネ製造会社
は世界市場を視野にいれて経営しているのですから、デザイン、肌触り、気候条件など幅広い
知識・経験が必要になると思います。

K社の経験(3)

第二の運送です。
製品は当工場でトラックに積みます。当工場から1.5時間ほどかけてA港に運ばれ、船に積み
込まれ、同じ中国のB港へほぼ一日をかけて運送されます。B港で陸揚げされ、1.5時間ほど
かけて顧客のもとに運ばれます。

わたしも、当社管理者も、トラックの揺れ、船倉の温湿度など運送に伴う条件を確認していま
せんでした。船倉では50度くらいの高温になると聞きますが、もし高温にさらされればダメ
ージにつながります。うかつでした。しかし、運送は想定外だったのです。

現時点で、工場出荷時点では良品であったが、運送の影響を受けて不良品になった可能性が高い
と考えています。(わたしの任務が書かれた契約書を取り交わしたわけではありませんが、もし
工場の品質だけでなく、顧客に届けるまでが任務であったと仮定すると)受諾前に日本企業の
技術トップに運送の問題を話し、運送にともない製品がさらされる条件を調査してておくべき
でした。

K社の経験(2)

今から思うと、二つの原因が考えられます。第一は生産条件設定にミスがあった、第二は運送途上
での商品の変形です。

まず、第一の生産条件設定からお話しします。
生産条件を決めるには実験計画法という方法を使います。この方法は数学(線形代数学)で構成さ
れています。品質は、原料から製品にいたる工程の諸条件できまるのですが、工場で生産するさい
に変動するであろうと考える諸条件を意識的に変動させ、そのバラツキが品質に与える影響度を計
算します。バラついても影響しない条件は管理しません。品質に影響する条件は計算によって上限
値・下限値を決め、その範囲に収まるように管理します。

話は外れますが、わたし、大学の若い先生とお酒を飲みながら「実験計画法を誰でも活用できるく
らいに簡略化すると有益ですが・・」と持ち掛けるのですが、たいへん忙しいようで、いまだ線形
代数学を「崩す」にいたっていません。

実験計画法を使って設定した最適条件にマチガイがあったのか? 中国人従業員は全員が素直であり、
わたしの指示を順守しました。わたしの指示が間違っていたのか・・・心が揺れました。

K社の経験(1)

わたしのほろ苦い経験をお話しします。

ある日本企業が中国に工場を開設しました。その工場では新製品を生産します。わたし、コンサル
ティングを依頼されました。①最適な生産条件を見つけ出す、②工程の品質管理体制を整えることが
役割であると心得ました。2014年4月19日~29日(11日)の仕事でした。

生産条件の確定、品質管理体制の確立、量産を並行して進めます。従業員は個々の製品が合格であ
ることを確認し、梱包し、出荷しました。
わたしは、工場内を巡回し、生産条件と品質の関連を検証し、(最初の数日は不良品ができるので、
最初の生産にかかる)全製品を廃棄させ、4日目から徐々に良品の比率が高まることを確認し、前
工程にかかる生産条件を操作しながら最終検査を確認します。夜は、残業が終わった後、管理者・
従業員といっしょにお酒を飲み、つたない中国語で懇談しました。

わたしは、たしかに良品が出荷されたことを、自分の目で確認しました。しかし、2014年5月
2日、顧客の受け入れ検査に立ち会った当社従業員から「全品、不良です」と連絡を受けました。
この従業員は精華大学を卒業した優秀な人材であり、彼の確認にミスがあるとは思えません。
事実、写真も送られており、確かに不良品でした。

わたしは、当社社長および技術トップに申し訳ない気持ちで、打ちひしがれました。当社は優に一億
円を超す損害でした。

時代の違い(2)

第二の違いは先端的知識のありどころです。

わたしが独立した1990年前後、ISO9001の知識は経営コンサルタントにありました。わたしの場合、
イギリス人が日本で行うセミナーに出席し知識を吸収し、多くの大企業・中小企業でISO9001の認証
取得の方法を教えました。

現在の企業が注目する技術はAI(人工知能)、ロボット、シェアリングであり、あるいは農業です。
これらの知識は中小企業診断士だけにあるわけではありません。
たとえば、都会のなかで野菜を栽培する試みは大企業が行っているし、都会から地方へ移住し「田舎
暮らし」を始める試みは地方自治体・NPO法人が支援しています。中小企業診断士として個人的に支援
できる範囲は非常に狭いと言わざるをえません。
理由は、それらが方法論ではなく、技術そのものだから、です。長期的・組織的に蓄積する技術である
ため、社会的需要はあるものの、中小企業診断士が関与できる領域は狭いです。

時代の違い(1)

わたしは、1991年、経営コンサルタントに転職しました。この文章を書いている2019年から
振り返ると30年ほど前になります。わたしの転職時と現在とを比較すると、経営コンサルタントを
取り巻く経営環境がおおきく変わりました。そのことを述べます。

第一は経済面から見た世界における日本の位置です。
アメリカでKAIZENという本がでました。著者・今井正明は、東京大学を卒業後、日本生産性本部の通訳
員としてアメリカに住んでいました。日本の経営者がアメリカ企業を見学するための斡旋をしていたよ
うです。やがて日本の産業が急成長するにいたり、逆にアメリカ人が日本の生産方法を知りたいと思う
ようになり、彼は日本企業で行われていたカイゼンを英文の本にしました。あっという間に世界的に有
名になり全世界の経営者およびその団体から講演の依頼を受けるに至ります。

わたしは、書籍KAIZENの著者・今井正明が社長を務めるケンブリッジ・リサーチ(東京)を訪問し、お
会いしました。小柄で白髪の紳士でした。西洋式に握手しましたが、その手のやわらかな感触を覚えて
います。
ケンブリッジ・リサーチは日本の生産方法を学ぶために来日する経営者・管理者のためにツアーを企画
運営していました。副社長から、「カンバン方式を教えることができますか?」と質問され、わたしが
「はい」と答えると、さっそくトヨタ生産方式を学ぶ欧米人向けツアー(研修+工場見学)の講師に採
用されました。

日本は世界的に優位な地位にいました。アメリカ、イギリス、ドイツなどが日本へ「日本式生産方式」
を学びに来たのです。しかし、現在、欧米企業が日本から学ぶことは少ないと考えます。

ごあいさつ

このサイトへ来ていただきありがとうございます。

今から5年前の2014年、「中小企業診断士から経営コンサルタントへ」というタイトルのブログを
このホームページに掲載しました。わたしが資格「中小企業診断士」をとった後の経営コンサルタント
として生活するプロセスを軸にし中小企業診断士に役立つであろうと思われる活動を述べました。それ
は過去を向き、過去のなかの有益と思われる教訓を拾い出したものでした。
今回は未来を向いた、わたしの夢を語りたいと思います。もとより、わたし、予言者でも霊能者でもあ
りません。未来を見通すことはできません。過去と現在を凝視し、その延長線上に、未来において実現
したい夢を語るものです。