『品質』とは?

『品質』とは(ex)

自分で書いた記事を2年ぶりに見て、今思うことを書きたい。

以前に書いている『品質とは、相手への役立ちの程度』というのは今でも納得できる。

コンサルティングをしている中で時々「過剰品質」という言葉が出ることがあるが、多くの場合複雑になって相手の理解度を下げたり手間を増やしたりと、全く相手の役立ちを向上させていないことが多い。「高い品質」を強みと言っている企業でも、その中身は「加工精度の高さ=品質」という理解で、顧客からはそこまでの精度の高さを必要とされていないことさえある。

「役立ちの程度の向上」とは、相手が必要としていることに応えるということである。
そう考えれば製品品質や金額だけではなく製品紹介やアフターフォロー、取引形態、支払い、管理等様々な点で「役立ちの程度」を向上させることが可能である。実際、製品価格は他社より高いものの「この企業に発注しておけば問題ない」という信頼で選ばれている企業もある。その企業は発注者の手間や後々問題が発生するリスクといった点で、他社より役立ちの程度が高いのである。

競争の激化と人手不足の状況から、多くの中小企業は高付加価値の仕事を求めている。
まずはどうやったら既存取引先企業への「役立ちの程度」を高められるのかを考えてはどうだろうか。様々な面で取引先と一緒に手間を改善し、お互いが仕事をスムーズに進められるようになれば、今よりも生産性及び利益を高めることが出来るのではないだろうか。

『品質』とは(7)

何回かに分けて品質について書いてきた。この話題はこれで最後にしたい。

中小企業の経営環境は厳しさを増している。品質は良くて当たり前、と言われる。製造業で言えば加工の精度や納期などは要求が厳しくなっている。しかし企業の、担当者一人一人の「役立ちの程度」は上がっているのか、と考えると疑問がある。

コンサルティングの品質も「相手への役立ちの程度」で測ることになる。
経営環境の厳しさから、コンサルタントを雇う余裕のある企業が減ってきたようだが、コンサルタント側も「相手への役立ちの程度」を見直す必要があるのかもしれない。クライアントの困りごとに対して「解決策を提示する」コンサルタントがいれば「クライアントと一緒に解決する」「クライアント自身の解決を促す」コンサルタントもいる。企業の状況によって答えは異なってくるが、それぞれの状況で企業の置かれた環境を考え「相手の役に立つやりかた」を工夫していくことが、コンサルタント側にも求められているのではないだろうか。

『品質』とは(6)

コンサルティングを行う際、本題である「望みの遂行」と同時に、社長はコンサルタントに対して自身の相談相手・サポート役としての品質を感じている。
もちろん本題は重要なのだが、場合によっては本題が上手くいかなくてもコンサルティングが続くこともある。コンサルタントがいることで社長の気が楽になる、社長の仕事が円滑に進む、従業員の仕事に対する態度が変わってきた等、「コンサルタントがいることによる影響」を社長は見ている。

以前あるコンサルタントが支援を行う会社への訪問に同行させてもらったことがある。そのコンサルタントはすれ違う従業員一人一人に笑顔で挨拶をし、時には軽く言葉を交わす。本題の業務遂行とは関係ない行為だが、コンサルティングの品質には大いに関係のある行為だ。

『品質』とは(5)

少し話は逸れるがコンサルタントの中には依頼を受けて、依頼された項目の遂行だけで終わるコンサルタントと、そこから派生してその他にも幅広く、長く、色々なことを相談されるコンサルタントがいる(もちろんクライアントにもよる)。

企業としては一回限りで依頼するコンサルタントよりも、自社のことを理解して色々相談できるコンサルタントの方が望ましい。またコンサルタントとしても、数多くの会社を見ることは勉強になるが、長く色々な相談をされた方が仕事や収入が安定する。
両者の違いは何だろうか?はっきりとした答えはまだ出ないが、この点について「品質」という観点で考えた。

前回「社長の望みの遂行」と「社長の役に立つこと」は異なるように思う、と書いた。
社長はコンサルタントに対して「望みの遂行・実現」を依頼してくる。それは売上高の向上であったり、社内体制の構築支援であったり、はたまた経営理念の文書化であったりする。

当然それらの遂行・実現は「社長の役に立つ」のだが、あるコンサルタントは同時にその領域とは別の領域で役に立つ。その領域とは何かということだが、社長の相談相手であり、サポート役ではないだろうか。

『品質』とは(4)

セミナーではそこから「自社の戦略的展開と品質の関係」についての議論になり、それぞれで考え、全体で議論してその話は終わった。

ここでもう一度考えたい。品質が「お客様への役立ちの程度」だとすると、私達の仕事の品質とは「いかに相手の役に立つか」ということになる。
「過剰品質」という言葉があるが、顧客への役立ちを無視しした作り込みを意味することが多いため、品質が高すぎるのではなく場合によっては作り込みにより品質を下げていることになる。

またコンサルティングも例外ではなく、その品質は「クライアント企業の(社長の)役に立っているか」という尺度で測ることになる。

その観点で考えれば、重要なことは「社長が何を望んでいるのか」ということになるが、コンサルティングをした身/された身両方の経験・実感から「社長の望みを遂行すること」と「社長の役に立つこと」は微妙に異なるように思う。

『品質』とは(3)

セミナーに話を戻したい。

議論の中でこんな話が出た。
「例えば同じような製品でも、食品や医療品に使用される場合、求められる品質は非常
 に高くなる」
「ある製品に対して製造側が全く意図しない使い方をされることがあり、その場合本来
 の機能での品質とは関係ない品質が存在する。品質はお客様によって異なる」
「品質は「良くて当たり前」と言われる。お客様からしたら良くて当たり前のもの。
 満足とは関係があるだろうか」

議論をしていく中で「お客様の満足に関係する」「絶対的な何かではなく、程度」というところまで出たが、その後は出なかった。

最終的には講師から正解(というより講師なりの答え)が出された。
それによると『品質』とは「相手(お客様)への役立ちの程度」という。

『品質』とは(2)

なぜ急に品質の話をすることにしたのか、背景を述べたい。

今、関係している中小企業の中で「若者が育たない」ということが問題になっている。育たないという意味は、「技術的」にも「仕事をする人」としても育ってくれない。同じようにどうすれば若手が育ってくれるのか、頭を悩ませている企業は多いと思う。

彼らは不真面目なわけではない。真面目に仕事をするのだが、悪く言えば仕事に対して消極的で言われたことだけを行う。「良品を出すように(あるいは不良を出さないように)しよう」とか「歩留まりを上げよう」とかいうことは頭に無いのではないかと疑ってしまう(そんなことは無いとも思うのだが)。その点について考えている際に、彼らに無いのは「品質」への意識ではないかと思い至った。

私は最近特に「品質を上げなければならない」と思うようになってきた。しかし具体的にどう品質を上げれば良いのか、そもそも品質を上げるとはどういうことなのか、根本の議論を置き去りにしたまま「とにかくやらなければ」という想いに駆られる。そんな時にセミナーで「品質とはなにか?」ということを問われ、ふいに一歩立ち止まって考える機会を与えられた。

『品質』とは(1)

先日、とあるセミナーに出席した。直接コンサルティング現場からは離れるが、現場の支援に関係することなので、その時の話を数回に分けて書きたい。

そのセミナーは「品質管理」に関するもので、受講者は少数だったがその分各受講者の話も聞く事が出来た。私以外の受講者は現場の品質保証や品質管理の担当者だった。

セミナーの中で「『品質』とは一体何か、自分の言葉で説明せよ」という課題がでた。
受講者間で討議しながら考えていたが、中々答えが出ない。ある受講者は「日々、品質の保証や品質の向上という言葉を使っているが、『品質』そのものを言葉で説明できない」と言った。その受講者だけでなく、私を含め、受講者の皆が思っていたと思う。

『品質』とは一体何だろうか?『品質』は我々の仕事にとって、どう重要なのだろうか?