川崎 透さん
神戸市外国語大学を卒業後、大手電機メーカー、小規模消費財メーカー、中堅化学品商社、外資系化学メーカーにて国内外の営業、海外拠点のマネジメント等に従事。大・中・小・外資系一通りのタイプの会社勤務経験を持つ。その後、経営コンサルタントとして独立し、主に小規模企業の海外ビジネスサポートを生業としている。理論や理屈だけでなく現実的・具体的な応援を通して、対象企業に寄り添うコンサルティングがモットー。かつて世界を放浪した経験があり、今も一人旅を好む。広島市出身。


-前職と独立の経緯について教えてください。
転職を何回かしていて、1社目が新卒で入った大手家電メーカー、そこで7年働いてその後に20人程度の規模の企業に行きました。そこはメーカーの機能もあったのですが工場は別会社で、工場も入れると100人近くでした。その後に化学品の商社に入りました。そこにも7年くらいいて、その後外資系の企業に。外資系は6年くらいで、独立したのはその後です。
独立したいという思いがあったわけではないのですが、元々会社への帰属意識が無かったので、独立したのは自然の流れかなと思います。ずっとここにいるわけではないという考えが、潜在的にあったのだと思います。

-そうした考えは若いころからですか?

若いころからです。どこかで考えが変わったとかではありませんでした。

―その考え方の源はどこにあるのでしょうか?

これということは無く私もわかりませんが、間違いなく影響を受けたのは若いころにバックパックを背負って海外を旅行していたことです。その中でいろいろな文化や社会を見ている中で「常識はこうだ」ということが外れて、「何でもあり」だと思うようになったのかもしれません。
ただ職種への帰属意識はありましたね。会社を変えても仕事は変えたくなかった。

―変えたくなかったとおっしゃる仕事はどんなものですか?

一つは海外に関わる仕事。もう一つは営業です。スキルを上げていきたいというのもあったのですが、やっぱり好きだったんでしょうね。
私の頃は複数回転職する人はあまりいませんでしたが、どういう企業がどういう人材を好むのかなどが分かり、勉強になりました。


―会社にいたのは何年くらいですか?

20年くらいです。24の頃に会社に入って45くらいで独立しました。独立は2つ理由があって、一つは年金問題。その頃から年金の受給年齢が引き上げられることは見えていて、定年後に立場を変えて働かなければならなくなると思っていたので、それなら定年の無い独立という形で働こうと思いました。
もう一つは、45歳であれば失敗してももう一度外資系企業で会社員をやれると思っていたためです。50歳で独立して失敗した場合もう会社員には戻れないだろうと考えて、弱気にも思えるのですが挑戦するならこのタイミングだと思いました。会社が嫌だったというわけではありません。嫌と思うことはほとんどありませんでした。

―独立の際に準備したことはありますか?

準備と言いますか、前からつながりのあった取引先に「独立するのなら顧問契約を結びたい」と言ってくれたところがあって、1社顧問契約を結んでもらいました。

―顧問契約は経営全般ですか?

いえ。最初は「海外事業を立ち上げたい」ということでの契約でした。その後は経営の意思決定におけるセカンドオピニオンのような感じで、相談は多岐にわたっていきました。それがあったから独立に踏み切れたというのはあったと思います。

-会社にいる頃からのつながりですぐに顧問契約というのは珍しいと思いますが…

そうかもしれませんが、会社員時代からの私のことを知っていたので他のコンサルタントよりも頼みやすいのだと思います。逆にそうでないと、1から知り合ってコンサルティング契約までというのは中々難しいのではないでしょうか。

―そのほかにありますか?
強いて言えば、個人事業主が良いのか法人が良いのか、税金等の計算をしたことでしょうか。その時には個人事業主の場合と法人の場合でExcelの計算式と表を作って、どのくらいの売上ではいくらになるのかを計算しました。

-表を作るだけでも大変そうですが。

そんなに難しいものではありませんし、ファイナンシャルプランナーの資格も持っているので社会保険等の仕組みは全て知っていました。生活がかかっているためやる人は少なくないのではないでしょうか。
とはいえ社会的な信用の面もありますのでそちらも考慮しながら考えました。


―独立した後に苦労したことはありますか?

苦労とは少し異なるかもしれませんが、会社の売上という面では怖かったですね。最初はすごい勢いでキャッシュが無くなっていって。最初の資本金はすぐに無くなってしまったので、自分のお金を「経営者借入金」として会社に貸し付けて。その時は怖かったですね。

―先の展望があっての「経営者借入金」だったのでしょうか?

そうですね。契約して頂いた会社が他の会社を何社か紹介してくれていました。また契約を一部歩合にして頂いていて、扱っていた商品が前にいた会社に近かったこともあり売上を拡大させられる見込みが立っていたので。運が良かったですね。


―現在の仕事について教えてください。

海外関係がメインです。全部ではありませんが、9割くらい海外関係です。

-海外展開を望む中小企業は多いですか?

展開にもいろいろあって、私が考える中小企業の海外展開というのはあくまでも輸出入です。直接投資は輸出入で成功したその先にあるものではないでしょうか。
例えばセミナーを行うと海外展開を望む中小企業の方がいらっしゃいます。彼らが悩んでいるのはほとんどが「どうしたら商品が売れるか」「どうしたら良い代理店が見つかるか」といった販路拡大の悩みです。
海外進出を望む企業の相談を受けると現地販売会社設立の話をされることがありますが、私は多くの場合反対しています。最初は「どうしたら良い代理店が見つかるか」、その先に「自分たちで販売」、最後に「現地生産」です。現に私がサポートしている会社は現地販売会社を作っていません。現地販売会社を設立すればそこに駐在員が必要になり、大きな経費が掛かります。採算が取れるだけの売上が確定しているのなら良いですが、中小企業がいきなりそんな大きなリスクを背負う必要はありません。

またコンサルティングの中では相手企業の利益を拡大させることはもちろんですが、若手の育成も考えて行っています。新たに取引先を開拓する際には私も同行するなど、従来のコンサルティングよりも一歩踏み込んだ支援を行うようにしています。

―今後の目標を教えてください。

とりあえずこのまま続けば良いなというのと、これは話が変わってしまうのですがコンサルティングだけではなく自分で事業を行いたいと思っています。

―コンサルティングとシナジーを持たせた事業、ということですか?

いえ。コンサルティングからは独立した事業です。
ですがコンサルティングをやっているから、自分でもやってみたいと思うのかもしれませんし、コンサルティングの説得力という面でもやってみるべきかな、と思っています。まだ具体的にどうというのはありませんが、将来的な願望です。